ベトナムの食事について その2 ~地域の特色~
「ベトナムの食事について その1 ~食事の構成と食べ方~」に続き、今回はベトナム北部・中部・南部のそれぞれの地域特色について書いてみます。
その1でも述べたように、皆さんの中ではベトナム料理といえばフォーが一番に頭に浮かぶと思いますが、実は地域ごとにいろんな料理があり、味付けも異なります。
まさにこのフォーも実は北部のハノイ発祥の料理なのです。これに匹敵するのが中部ではミークワン、南部ではフーティウという料理です。
ミークワン@ダナン:筆者撮影
フーティウ@ホーチミン:筆者撮影
他にもベトナム風お好み焼きで知られるバインセオは中部・南部発祥でそれぞれの地域でつけダレが違います。
バインセオ@ダナン:筆者撮影
ここで見たように、実はベトナム料理にもご当地料理が存在し、当然それぞれ発祥の地で食べるのが最もおいしいと筆者も感じます。
他にも、味付けにも地域特色があります。ここでは一般論について筆者の旅行時の感想を交えながら簡単に紹介したいと思います。
まず北部の味付けは優しく、割と薄めで少しすっぱみがあるとされます。フォーもまさにその代表です。ほかにも温かいそうめんに近いブンタン、ベトナム風つけめんブンチャーなどです。
中部は辛くてすっぱめの味付けが好まれ、甘さは北部よりは強いですが、南部に比べて控えめとされます。ベトナム最後の王朝であるグエン朝があった古都フエでは宮廷料理が発達し、その流れを受けて、小さくていろんな種類のものを一度に食べることが特徴とされます。つけダレも豊富で、このつけダレが特に辛くてすっぱいものが多いようです。筆者も実際にフエに訪れた際にバインカインというやさしい味の麺料理を食しましたが、現地人の真似をして唐辛子ソースのようなものを少し足してみると一気に辛くなったことを思い出します。
最後に南部は特に甘いことで知られます。特にココナッツ水を使用するお菓子、チェー、おこわ、鳥のおかゆなどの料理は独特の甘みがあるとされます。筆者は南部への旅行経験はまだ乏しいですが、冒頭に載せたフーティウは特に甘く、ホーチミンで食べたフォーも北部のものに比べ非常に甘かったです。
このように、ベトナム料理、といっても地域ごとに多種多様であり、グルメな方にはとても興味深いのではないでしょうか?日本にはベトナム料理屋がまだまだ少なく、本場の味、たくさんの種類の料理を食べる機会は少ないと思うので、旅行の際にはぜひベトナムご当地グルメをご堪能ください。
記事を書き終わる前に、個人敵にお気に入りのベトナム料理に関する書籍を紹介させて頂きます。ベトナム料理家である高谷亜由さんという方の本で、彼女がベトナム中を旅行して自ら食した感想を旅行の体験談とともに綴るとても読みやすい本です。料理家ならではの視点でとても上手な描写と写真や手書きイラスト盛りだくさんの素敵な本です。
ここハノイで日本人の方に有名な雑貨屋兼カフェの安南パーラーさんに出向いた際にたまたま発見した書籍です。安南パーラーさんの紹介はまたの機会に…
『水上マーケットの朝、アヒル粥の夜 あちこっちベトナム旅ごはん』
高谷亜由 著、幻冬舎、2015年
皆さんもこの書籍を読んでより一層ベトナム料理のイメージを膨らませてみてください
。この記事が皆さんのベトナム食文化への理解に少しでもつながれば幸いです。